研究課題/領域番号 |
59060002
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
古川 静二郎 東京工大, 国立大学(その他), 教授 (60016318)
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研究分担者 |
小間 篤 東京大学, 理学部, 教授 (00010950)
浅野 種正 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (50126306)
石原 宏 東京工芸大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60016657)
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キーワード | ヘテロ構造 / ひ化ガリウム / ゲルマニウム / 弗化物 / EBEIピタキシー / SOI / CMISトランジスタ |
研究概要 |
本年度は、弗化物絶縁膜上へのひ化ガリウム(GaAs)およびゲルマニウム(Ge)単結晶薄膜の成長手法の開発と最適化、ならびにより優れた特性をもつ弗化物/GaAs界面の形成方法について、デバイスの試作も含めて検討した。その結果 1.弗化物表面に電子線を照射した後にGeまたはGaAsを成長させる方法(EBEIピタキシー法)を開発し、この方法と昨年度までに開発した非晶質薄膜予備堆積法またはひ素分子線照射とを併用することで結晶品質、表面平坦性が極めて優れた半導体層を形成できることを明らかにした。東工大と東大の装置を真空を破らずに実効的に結合した "その場"電子エネルギー分光分析から、電子線照射で弗化物最表面が改質されるためであることが示唆され、さらに詳細な機構の解明をはかっている。 2.GaAs成長層中には、アンチフェーズ欠陥、微小双晶が発生し、これらが高速動作を制限していること を明らかにした。これらの欠陥は結晶構造や熱膨張率差に起因することも明らかにしており、現在欠陥低減のための具体策の実施を進めている。 一方、GaAsと弗化物の界面特性に関しては、 3.GaAs表面をひ素雰囲気中で加熱清浄化して弗化物膜を成長すればこれらを同一真空中で連続成長したのと同等の優れた安定性をもつ界面を形成でき、標準的な作製工程で弗化物をゲート絶縁膜とした空乏形GaAs-MISトランジスタを実現した。さらに 4.イオン分子併用結晶成長を用いれば、弗化物の組成を精密制御できることを明らかにした。このことは、本研究で新たに提案したこの手法を用いれば界面特性のより一層の改善ならびに集積回路に必要なしきい値制御を行なえることを意味し、その意義は大きい。
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