研究概要 |
本研究は, アルカリ土類金属弗化物単結晶絶縁物とGe,GaAsなどの半導体とを組み合せたヘテロ構造で低消費電力, 超高速の集積回路を実現することを最終目的として行なったものである. 具体的には, (a)SOI構造形成技術の確立, (b)ヘテロエピタキシャル成長の物理的機構の解明および(c)MISデバイスの実現という3つの目標を設定し, 研究を進めた. (a)に関しては (1)Si,Ge,GaAs上に単結晶弗化物膜を形成する条件を確立した. (2)Si上にGaAsのSOI構造を形成する場合のように, 格子不整合系SOI構造を形成するのに要求される特性を満足する弗化物の構造(格子整合条件等)および成長法を確立した. (3)弗化物上に半導体膜を成長させる際, 薄い非晶質層で弗化物評論を予め覆う方法が有効であることを示した. (4)弗化物表面に例えば電子線照射して表層改質した後, 単導体膜を成長する手法(EBEエピタキシー法と名付けた)を開発した. (5)弗化物表面を平坦化する手法を確立するとともにオフ基板の採用により逆相ドメイン欠陥のないGaAs層を形成する方法を確立した. これらを基に, SOIデバイスを試作し, 実用性があることを示した. (b)に関しては (6)結合性の異なる物質どうしをヘテロエピタキシャル成長させる際の表層改質の必要性と意義を明らかにした. (7)成長界面への非晶質層の導入及び格子整合条件の具体的効果を明らかにし, 種々のヘテロ構造に応用可能な知見を与えた. (c)に関しては, (8)弗化物を用いることにより, 従来にない真に実用性のあるGaAsMISFETを実現できる可能性を示した.
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