研究概要 |
観測データの取得、データ処理システムの確立、新定量解析法の研究という三要素のそれぞれについて所期の目標をほぼ達成した。項目別実績を以下にまとめる。 1.不曽観測所の大型シュミット望遠鏡による観測の推進 (1)当初策定した観測計画を更に最適化するため、観測の効率化をはかると共に、既存乾板の品質を体系的に再評価した。撮影必要全天域数は354に減少した。 (2)本年度は74枚(61年2月末)の乾板を撮影した。現在A級乾板は99天域(28%)、B級乾板も含めると165天域(47%)が撮影済となっている。 2.データ処理システムの確立 (1)世界でも第一級の性能を有する、銀河表面測光データ処理解析用ソフトウェアライブラリ「SPIRAL」を完成し、59年度に設置した高速画像処理システムの安定稼動を開始した。 (2)高精度乾板濃度測定機PDS2020GMSを導入し基本性能を確認、駆動ソフトの開発、一連の調整作業等を行って立ち上げを完了した。 (3)約40個の銀河を測定整約し、データ処理システム全体としての精度、効率とも本研究の遂行に充分であることを確認した。 3.新定量解析法の研究 (1)銀河形成史の解明に重要な役割を果す矮小銀河の構造を新定量解析法によって調べ、巨大銀河と本質的な差異のあることを明らかにした。(文献1) (2)楕円体成分と円盤成分から成る銀河の構造モデルで観測データを解釈する新しい方法を提唱し、これを活用して我々が進めている銀河の定量分類の物理的基盤を明らかにした。(文献2,3)
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