本研究は、多様な姿を見せる銀河の構造が、一体どのような要因によって決定づけられているのかを、多数の銀河の画像を定量的に解析することによって突きとめようとしたものである。本研究の成果は次の点にまとめられる。 1.定量解析法による銀河構造の研究 (1)銀河構造を決定する物質要因が二つであることを突き止め、銀河構造を記述するのに最適な観測パラメータが直径と面輝度であるこを見出した。 (2)銀河を楕円体構造と円盤構造の二つの基本構成要素に分解し、それぞれの系統的性質を明らかにした。その結果、銀河の多様な形態を形成する第一要因が楕円体構造の相違にあることを突き止めた。 (3)銀河を恒星という質点の集合と見なした場合の平均位相空間密度が、銀河の全光度と良い相関を示すことを見出した。この発見により光っている物質が形造る銀河構造と、見えない物質も含めた銀河の力学構造の間の関係を明らかにする重要な手掛りが得られた。 (4)定量解析法を銀河に適用する際に考慮すべき、内部吸収、赤方偏移による波長のずれ、銀河の特異性、観測データの処理手法など数多くの問題についての研究を行いそれぞれ成果を上げた。 2.銀河データベース 約800個の銀河の二次元光度分布のデータベースが完成した。これは世界的に必要なグループに配布され、主要データはカタログとして別途出版される予定である。 3.天体画像データ測定・処理システムの構築 天体画像処理専用の計算機システムを導入し、その上で世界第一級の性能をもつソフトフェアライブラリを開発した。大型写真乾板測定機を導入し、改良及び制御ソフトを開発し稼動させた。
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