1.tRNA遺伝子:前年に引続き、tRNA-Glu(UUC)、tRNA-Tyr(GUA)、tRNA-Asp(GUC)、tRNA-Arg(ACG)、tRNA-Leu(UAG)、tRNA-Phe(GAA)、tRNA-Cys(GCA)、tRNA-Ile(CAU)、tRNA-Leu(CAA)、tRNA-Ser(UGA)、tRNA-Thr(GGU)、tRNA-Lys(UUU)、tRNA-Ser(GGA)、tRNA-Thr(UGU)、tRNA-Leu(UAA)の15種の遺伝子を同定し、その塩基配列を決定した。とくに、tRNA-Lys(UUU)遺伝子は2526塩基対のイントロンを持ち、今まで解析されたtRNA遺伝子のうちで最長のイントロンである。このイントロンの中には509コドンのORFが存在している。これで、30種37個のtRNA遺伝子を見出したが、葉緑体DNAの全塩基配列を決定して検索したが、これ以上のtRNA遺伝子は見出されなかったので、葉緑体中では30種のtRNAで蛋白合成を行っていると考えられる。普通は32種以上のtRNAが必要であるので葉緑体での特異な機構の解析が次に必要である。 2.大腸菌と相同なタンパク遺伝子:前年に引続き、リボソームタンパク遺伝子を20種見出した。そのうち、rps16、rp12、rpl16、rps12遺伝子にはイントロンが含まれる。とくに、rps12はN-末端側38個のアミノ酸をコードするエキソン(5′-rps 12)が、残りのエキソンと別のオペロン(3′-rps 12、逆位反復配列上に存在するため2個ある)として30又は90キロ塩基対も離れて存在している。従ってrps 12は3オペロンよりなり、それぞれ転写されて、トランススブライスされることをノーザン法で予測した。このような遺伝子構成は始めて見出されたものである。ついで、RNAポリメラーゼのα、β、β′サブユニット遺伝子を見出した。発現様式の解析の結果では通常の光条件下では発現していないようである。 3.光化学系を構成する遺伝子:前年のチトクロームfに引続き、10種の遺伝子を見出した。現在、他の光化学系のタンパクを精製中。
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