研究概要 |
1.一昨年決定したタバコ葉緑体DNAの全塩基配列を, 最新のDNAデータベースを使って相同性検索した結果, リボソームタンパクL36造伝子を発見しrpl36と命名した. また, ホウレンソウの鉄・イオン中心の9kdアポタンパク質のN末端のアミノ酸配列の決定(崎ぎ大の桧山ら)結果から, このタンパクがタバコ葉緑体DNAちコードされていることを発見し, psaC遺伝子と命名した. 両遺伝子とも葉緑体内で転写されていることをノーザン法で明らかにした. 2.他の高等植物の葉緑体DNAとしては, イネ, テンサイ, クロマツ, シダを解析したが, イネについてはその葉緑体DNA約130キロ塩基対の大部分き塩基配列の決定を終え今後タバコと比較解析を行う計画である. また, 単細胞藻類のクロレラの葉緑体DNAの解析も一部行った. 3.光化学系IIのpsbBとpsbH遺伝子および電子伝達系のpetBとpetD遺伝子は共転写されるさことをノーザン法で明らかにし, ついでキャップ法で葉緑体mRUAとしては初めて正確に転写開始点を決定した. ついでpetBとpetDおよびNADH脱水素酵素サブユニットのndhAとndhB遺伝子にイントロンが存在することとそのスプライス部位をリバーストランスクリップション法で決定した. また, 光化学系IのpsaA遺伝子の前方と, リボソームタンパクS12遺伝子51-rps12の前方に, イントロンを含む未同定タンパク遺伝子を見出し, それぞれIRF130とIRF168と命名した. いずれも転写されスプライスされることを明らかにした. 4.前年に引続き, チラコイド膜より種々の成分を分画精製し, それぞれのN末端のアミノ酸配列を決定した(合計15種).
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