研究課題
総合研究(A)
マメ科草および若刈りイネ科草には多量の蛋白質が含まれ、これを反芻家畜の飼料として給与すると過剰の蛋白質が有効に利用されずに排泄されてしまう。したがって、過剰の蛋白質を抽出し、これを單胃家畜の飼料等として有効に利用する方策を検討しようとした。牧草より蛋白質を抽出するためにはこれを圧砕して溶汁し、汁液中の蛋白質を凝固分離することが必要である。この際、蛋白質濃縮物のほか圧搾残渣および蛋白質分離残液が副産するのでこれらの有効利用をはかることも必要である。蛋白濃縮物の抽出に際し、搾汁方法、蛋白質の沈澱方法および沈澱蛋白質の乾燥方法が製品の収量や品質に影響を及ぼす。今回は、加熱処理、酸あるいはアルカリ処理および発酵処理などの蛋白質沈澱法について検討した。その結果、発酵処理では収量が低く製品の栄養価が劣ること、またアルカリ処理によりPH8に調整したのち加熱処理すると製品の収量が高まることが明らかになった。蛋白濃縮物のアミノ酸組織とその利用性については従来多くの研究がなされているが、加熱乾燥は特にリジンの破壊につながることを今回明らかにした。蛋白濃縮物のミネラル合量を測定すると、通常の蛋白飼料に比してかなりのアンバランスがあること、またこれをミネラル添加等により矯正すると濃縮物の利用性が向上することを知った。特にアルファルファより製造した蛋白濃縮物にはサポニンの含量が高く、これをヒナに多給すると発育を阻害する主要な要因になることを知った。さらにこの害作用は、サボニン含量と同量のコレステロールを添加給与することにより完全に除去することができた。これら基礎的研究のほかに実用試験をも行った。例えば、産卵鶏用飼料のダイズ粕を蛋白質濃縮物で蛋白質当たり5%代替しても産卵に影響はなく、卵黄色の発現に有効であった。また子豚用飼料の蛋白源としてかなりの量まで使用できるが、その許容量は子豚の日齢により変化した。
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