研究分担者 |
石渡 良志 東京都立大学, 理学部, 教授 (90087106)
藤 則雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (40019394)
中村 俊夫 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 教務職員 (10135387)
中井 信之 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022529)
堀江 正治 京都大学, 理学部, 教授 (90025320)
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研究概要 |
1.目的;琵琶湖湖心部でボーリングされた1400メートルの推積物コアを可及的高密度にサンプリングを行ない、生物微化石,軽元素特に炭素の同位体,クロロフィル,脂質,リグニン等の有機物,無機微量元素等の化学化石を解析することにより、過去200万年間の古環境の変動を検討する。2.経過と結果;昭和59年度には12メートル間で、また昭和60年度には6メートル、さらに昭和61年度には3メートル間隔でサンプリングを行ない、数百以上の試料について解析を進めて来た。 その結果全ての解析項目について次の様な一致した結論が得られている。 (1)約200〜250万年前以降、堆積物深度804〜732メートルでは、水深の浅い沼か河川のような環境であった。 (2)堆積物深度で732〜582メートル(R層)の頃は、やや水深の深い堪水が生じ、現在の琵琶湖よりはかなり規模の小さい湖か池のような環境が出現しその水深は深い時で30〜40メートル程度であった。 (3)堆積物深度で、582〜250メートル(S層)の堆積した頃は、(1)と同様に再び水深が0メートル近くになり干上った状態の環境となった。 (4)堆積物深度で250メートル以浅(T層)の堆積時になって、現在の琵琶湖と同じ湖らしい水深100メートルに達する湖が形成された。現在の湖盆が誕生したのは約70万年前と推定される。 この間寒冷な氷河時代がわくとも5回認められ、地球規模での古気候の研究に一つの明確な基準資料を提供することができた。
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