本年度の研究実績は次の二項目となる。 (1)X線回折動径分布関数による非晶相の変形に伴う変化 (【i】)前年度に引き続きゴム試料について、さらにその測定精度を高めた。試料は天然ゴムおよびSBRである。 (【ii】)ナイロン6タイヤコードについて非晶相の伸張挙動を動径分布関数により検討し、分子鎖の引き伸ばしと配向の変化を観察した。これに関してはX線小角散乱をも援用して、結晶相をも含めた変形下での変化を明らかにすることができた。 (【iii】)ポリエチレンテレフタレート(PET)タイヤコードの動径分布関数の測定の準備をはじめ予備的な検討を終えた。 (2)サーモルミネッセンス(TL)によるPETタイヤコードの疲労のキャラクタリゼーション: この領域ではPETのTL発光の挙動を微細構造との関連で体系的に把握する必要があるために、主としてPETフィルムを用いて、延伸.熱処理によるTLの変化を検討した。構造とTL発光の相関をかなり明確にできた。
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