研究課題/領域番号 |
59410016
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
小林 健太郎 滋大, 教育学部, 教授 (60024923)
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研究分担者 |
野間 晴雄 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (00131607)
高橋 誠一 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00025082)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 条里 / 水利システム / 潅漑面積 / 土地利用システム / 水田 / 開発過程 |
研究概要 |
本研究費による調査研究は、近江盆地を対象にするものと、近江盆地以外を対象にするものとに大別される。近江盆地では湖東平野北部の犬上川扇状地および芹川中流の低い河岸段丘、甲賀郡の丘陵地帯を流れる野洲川と杣川の河谷平野、湖北平野北部の低平な沖積平野、および湖西平野北部の急傾斜扇状地に続く湖岸低地をフィールドに選び、条里縁辺地域における条里型地割の残存形態やその地形的・水利的条件を中心に検討を加えた。 一方、近江盆地以外では、大規模条里区の縁辺が近江盆地では見られない条件を有している地域として、条里縁辺地域に大規模な海岸干拓地が接続している有明海北岸の佐賀平野、最近まで主たる潅漑用水を溜池と湧水に依存してきた讃岐平野西部、および榛名火山の山麓が大規模条里区の縁辺を限り、近年条里型水田の発掘調査が盛んに行われている群馬県の西毛平野を事例として調査を進めた。 これらの調査研究の結果、平野中央部の大規模条里区では、歴史時代を通じて水利システムの維持改善に多くの努力が注がれてきた結果、比較的安定した土地利用が行われてきたのに対し、条里縁辺地域においては、条里型地割の分布や残存形態、水利システムや土地利用のあり方が、各地域の地形・地質的な特性や歴史的背景の相違によって極めて多様であり、耕地が相対的に不安定な状況に置かれてきたことが判明した。 しかし、現段階では、各地の条里縁辺地域に共通する一般性を発見することは困難で、より多くの多面的で詳細な事例研究を積み重ねることが必要である。とはいえ、近年の大型圃場整備の盛行は急速に条里型地割を消滅させつつあり、調査研究の困難性が著しく増大してきている。
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