研究概要 |
太陽表面波動の検出による太陽内部構造の診断を目的とする当研究の要となる磁気光学フィルターの開発、大量データ処理系の開発、光学系の完備を行い、5分振動の観測による大量データの前処理の実施により内部診断の有効性を確めた。 1.磁気光学フィルターの開発 昨年度製作した同フィルターのセルは300℃に保温して使用すると数時間で内部に封入したNa蒸気がセルに蒸着してしまうことが判明したため長時間使用に耐えるセル容器の開発に時間をかけてとりくんだ結果2種類のセルの有効性が判明しその一つ(ショット社8436の特殊ガラスを用いたもの)を製作した。更に恒久性のあるセラミックを用いたセルについては基礎設計を行い来年度製作する。温度特性透過率(透過中0.22Aで40%)耐用時間等秀れた性能を有することが示された。このフィルターに干渉フィルター(3.5A中)、X/4波長板、偏先板を組合を、太陽温度装置を新設した新しいシーロスタットにより太陽全面像のNaD経像及びその速度場像を得ることに成功した。 2.大量データ処理系の完備と予備観測 計算機系に2MBのメモリを増設し、光ディスタ記録装置を導入してCCDによって得られた太陽2次元像の実時間処理、大量データ記録方式を完成させた。平山,浤名,西川はこの増設メモリと昨年度購入したイメージプロセッサを使用して白色光による太陽5分振動データを取得しフーリユ解析を行った結果、云ゆるK-w図上に多数のリッジを検出し、白色光で内部構造診断を初めて可能にした。 これによりここで開発した大量データ処理システムの内部診断観測における有効性が実証された。今後の磁気光学フィルターによる長時間速度場観測、各種フィルターによる輝度観測の実施による細かな太陽内部診断を実行する基礎が確立された。
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