研究概要 |
59年度に建設した二重クォークモデルによって、360GeV/cにおける1体分布 P+P→π,K,P,【-!P】,Λ,【-!Λ】,【Y^*】+Xの解析を行った。すでに、ハドロン化機構については、【e^+】+【e^-】→ハドロンの既存のデータとの比較から、独立カスチードモデルおよびストリングモデルのパラメーター検定を完了している。したがって、ハドロン化機構についてはモデルを固定化することができ、ハドロン・ハドロン反応を用いてもっとも効率よく核子内クォーク分布を引きだすことができた。 核子中の3つのクォークは独立ではなく、二重クォークが形成されている、というのが当初からのわれわれの主張であった。そこで、クォークの運動量分布を、独立クォークおよび二重クォークの二つの立場から算出し、ハドロン化機構のモデルと結合させた。上記PP反応につき縦運動量分布を解析したところ、メソン(π,K)に対しては、独立クォークモデル・二重クォークモデルもともに実験値とのよい一致が認められた。しかし、陽子中のクォークが2個関与するバリオン生成過程PP→Λ,P+Xでは、二重クォークモデルのみがデータを説明することができた。このことから、当初の予想通り、二重クォークの存在が検証されたが、さらにモデルの改良として、一次元運動量分布を三次元に拡張し横運動量分布を説明することに成功した。 以上の内容は、すでに日欧協同研究会議においても大方の承認を得、二編の論文として投稿中である。この先さらに、重クォークのハドロン化、二重クォーク状態の分割、ハドロン化最終段階におけるバリオン生成等の課題を検討する予定である。
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