研究概要 |
本研究の目標は地震波のデータの解析による地球内部構造の研究と地球構成物質の物性科学的研究を融合させて地球マントルのダイナミックな性質を明らかにすることである。特にマントルの異方性・流動特性に注目しマントル対流を実証的に研究することに焦点をあてる。3年連続の2年目として本年は地震学的研究・物性科学的研究ともに研究解析手段の充実に努めた。 地震学的研究では異方性地球の自由振動問題など理論的研究を進めると同時にGDSN,IDAなどのディジタル地震記象を使用して地球内部構造の異方性を明らかにするためのデータセットをつくった。特に別途予算で本年度後期に設置されたスーパーミニコンピュータによって上記のディジタル地震データの取り扱いが簡便化・高速化され大量のデータを取り扱うインバージョンの開発もおこなった。来年度においてはこれらのデータ・プログラムによって異方的構造を明らかにする予定である。 物性科学的研究は上記の地震学的研究と比較して当初の予定より遅れている。高温高圧静水圧下での低歪速度試験によるマントル鉱物の流動変形特性を明らかにすることが最終目標であるが低歪速度ローディング装置にトラブルがあり現在圧電アクチュエータを使用したシステムを製作中である。本装置は従来にない長所と機能を有しており従来よりあった問題点を克服できるものと期待される。又超高圧下での変形組織を変形実験を行なうシステムをMA-8型超高圧装置内で開発した。 2つの研究を結びつけるものとしてマントル対流の数値計算も始められた。流れ場・温度場のカップリング、粘性の温度依存性の影響などを数値的に研究し地震波の異方性構造、流動特性と比較する予定である。
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