研究概要 |
研究は地球マントルの地震波異方性を地震学的及び物質科学的に明らかにすることを目ざした。研究は三つの部分にわかれほぼ独立して進行させた。 1.地震学的アプローチでは異方的媒質の自由振動や表面波の定式化をめざし、地震学的手法によって原理的にどのような異方性を明らかにすることができるのか明確化した。また異方的地球モデルをつくるための自由振動や表面波の分散曲線のデータセットをつくることをめざした。GDSN,IDA,Geo-scOreなどのディジタルデータを入手、編集をおこないこれらの用途に合うような変換をおこなった。これらのデータに基づいたたインバージョンをおこなう予定であったが時間的制約があって至らなかった。 2.物質科学的アプローチでは高温高圧下での変形試験をおこなうためのガス圧式高温高圧変形試験機の設計、製作をおこなった。封圧5kb,荷重3ton,最高温度1450℃というシステムが完成したが、完全な動作試験は未だおこなわれていない。一応封圧の発生までの確認をしている。部分熔融状態のレルゾライトの応力下でのメルトの形態を調ベメルトが異方的な分布をしていることを明らかにした。 3.マルトル対流のシミュレーションの研究においては地球のマントルのレオロジカルな性質を取り入れた研究をおこない、マントル対流とリゾスフェアのカップリング、物質分化を含む系での流れ場、温度場のパターンを明らかにした。これらは異方性のインバージョンの際の初期モデルつくりやその解釈に有用な情報と制約をあたえる。
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