研究概要 |
東北本州弧第四気火山の共存するソレアイト系列とカルクアルカリ系列岩では、両者は明らかに異なる組成変化経路あるいは同位体組成を有しており、それぞれ異なる初生マグマを考える必要がある。又、両者のインコンパティブル元素規格化パターンは一般に異なっており、カルクアルカリ系列岩をソレアイト系列岩の端成分の単純な混合により形成することは、困難なことが多い。八幡平火山において両岩系のトレンドを比較した結果、Ni,Cr以外にもRb,Zr,Nbなどでソレアイト岩系(main tholeiite series)とカルクアルカリ岩系で、トレンドに差があること、subordinate tholeiite seriesはカルクアルカリ岩系のトレンドのほぼ延長上にプロットされることが確認された。いくつかの火山フロント沿いの火山において、共存するカルクアルカリ岩系とソレアイト岩系の火山岩組成を同一【SiO_2】%で比較したところ、カルクアルカリ岩系の岩石には、Mgo,Ni,Cr,Co,Rb,Cs,Zr,Nb,Ceが多く、一方、ソレアイト系列の岩石には、【Tio_2】,Sr,【Na_2O】,【P_2O_5】,Sc,Yが多かった。次に、カルクアルカリ岩組成の空間的分布を検討した。その結果、カルクアルカリ岩について、明暸で単調なLateral variationが認められる地域が、ある程度限られていることが明らかになってきた。カルクアルカリ岩組成のLateral variationが最も顕著である八幡平-森吉-寒凡火山列について【SiO_2】で規格化した元素組成を比較したところ、P,Rb,La,Ce,Sr,Ba,CsとThは火山フロントからの距離とともに顕著に増加している。Eu,Sm,K,Tb,U,Hf,Y,Zr,Yb,LuそしてNbも火山フロントからの距離とともに増加はするが、前者ほど顕著ではない。そして、Cr,Fe,Sc,Ni,Co,MgそしてCaといったコンパティブル元素も火山フロントからの距離とともに減少している。
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