本研究は回收体形状物体の非線型動特性の解明を目的にして下記の4研究項目に関し分担して行われ、その成果は以下の如く要約できる。 1) 回收体の縦搖れ動安定特性(辛島):2段円柱台を基本形状とする回收体形状物体の低亜音速縦搖れ振動は非線型であり、小円柱部分が上流へ向くか下流へ向くかその姿勢に依存して、非減衰又は単調減衰モードになる。 実験データに曲線適合法を適用して振動方程式を近似的に決定し、模型に働く空力モーメントを評価した結果、いずれの場合も動的には不安定であると云う結論に達した。 2) 超音速パラシュートの減速特性(雛田・辛島):超音速におけるパラシュートの開傘特性と減速特性をそれぞれ高速ビデオ及び天秤による測定で明らかにした。 定常状態におけるパラシュートの抗力係数はマッハ数2では0.15〜0.2程度で、この値は低速のそれに比較して大きいが、パラシュートの適切な形状の工夫により超音速で実用化の見込みはあるとの結論に達した。 3) フラットスピンの防止法(安部・久保田):回收体に装着されたアンテナをフラットスピン抑止に利用し得る可能性を実験的に調べた。 抑止効果の有無はアンテナの配置に強く依存して決まり、この結果は固定模型の横力に関する実験結果と一致する。 尚抑止効果が無い場合でも、アンテナの存在はスピンへ入る過渡特性の制御に効果があり、更に定常スピンの回転速度を遅くすることが明らかになった。 4) フラットスピンの過渡的動特性(久保田):軸対称細津形状の回收体がフラットスピンへ移行する過渡的過程は、物体形状及びレイノルズ数に依存して、定常回転が可能な平衝点が1つの場合と2つの場合の2モードが存在する。 尚回転モーメント係数の角速度に対する依存性は非線型で、以下の3パターンに分類できる。 即ち、(イ)単調減少 (ロ)極大値を持つ (ハ)単調減少後に極大値を持つ。
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