研究概要 |
1. 研究の目的 FRPの分野においても、AE法は材料試驗中の破壊過程の追跡手段として用いられており、たとえば、CFRPの破壊機構をAEの振幅分布から究明したもの、AE法を破壊じん性の評価に用いたものなどの研究が行われている。しかしながら、FRPのAEは構成要素である強化繊維の種類やその強化構造などの影響により複雑であり、またAEのパラメータに含まれる情報が多いため、まだ未解決な問題が多い。そこで本研究では、クラスA-SMCの組織因子がAE特性にどのように影響するか調べるために、樹脂系のみ、樹脂系と炭酸カルシウム、樹脂系とガラス繊維、クラスA-SMCの各試料について実驗する。また、モデルCFRPの一方向強化繊維に対し負荷方向が平行と垂直な試驗片、クロス強化繊維のいずれかの繊維に垂直な試驗片および母材樹脂の試驗片についても実驗する。 2. 新しい知見やそれから導かれる結論 (1)クラスA-SMCの組織因子を変えた試料の静的引張試驗において放出されるAE信号を周波数解析を試みた結果、樹脂割れに対応するAEの周波数は80〜180KHz、炭酸カルシウムの割れあるいは炭酸カルシウムと樹脂とのはく離に対応するAEの周波数は240〜450KHz、繊維と母材とのはく離および引脱きに対応するAEの周波数は180KHz、繊維の破断に対応するAEの周波数は250〜400KHzであり、(2)また、モデルCFRPの母材の微視割れ、最終破壊、母材と繊維との界面はく離、繊維の破断に対応するAEの周波数は、それぞれ約260KHz,50〜100KHz,150〜250KHz,270〜390KHzになった。したがって、これらのFRPの破壊機構が周波数解析によりわかった。
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