本研究では固相拡散接合と溶融溶接を対象として、その界面現象と機構を明らかにすることを目的とする。研究実施計画に従って、昭和60年度の研究成果を報告する。 1.拡散接合における界面現象 59年度において金属同志(Ni)の接合を行ない、接合界面に存在するボイドの消失過程を実験並びに理論的に検討した。60年度においてはセラミックス同志(アルミナ)の接合実験を行なった。アルミナの接合において、接合界面のボイドは主として空孔拡散機構により収縮する。その接合強度は金属の場合と違って、平均的な接合面積率ではなく、界面付近に存在するボイドの形状と最大寸法に依存することが分った。さらにインサート材としてガラスを添加すると比較的低温(800℃程度)で母材並みの強度が得られることが分った。 2.アーク溶接における溶滴離脱機構 パルスMIG溶接における1パルス1溶滴移行に着目し、離脱機構を検討した。ピーク電流時のピンチ不安定によりワイヤ端の溶滴が離脱するモデルを構築し、適正なパルス波形条件を提案した。 3.セラミックスのレーザ接合 レーザビームのエネルギ密度分布を光学系により制御し、セラミックスに照射したときの温度分布並びに接合部の性状に及ぼす効果を追求した。母材に比べて低融点をもつ、ろう材を粉末で供給し、その組成を変えて接合実験を行なった。その結果、従来に比較すると格段に広範囲での面接合を行なうことができると同時に割れのない良好な継手を得ることができた。粉末成分比を調整し、接合部に形成される相と母材との熱膨張率の差を小さくすると継手強度が母材並みまで改善される。
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