研究概要 |
本研究の目的は、【◯!1】従来得られている実験や数値解析などの手法や知見を統合し、総合的なダム設計システムを確立する、【◯!2】構造物建造後の挙動予測と観測の両面から構成される安全管理の考え方と安全管理システムの確立を目指す、の2点にある。この目的に対して、本年度は昨年度に続いて、具体的な安全管理システムの構築を中心に、以下のような成果を得た。 1. 設計や挙動推定を行うための基本となる数値計算プログラムを、京大大型計算機センターからリモートジョブを用いて主要設備であるUX-700上に整備した。特に、静的および動的な有限要素解析プログラムとそのデータの前後図化処理用プログラム、さらにカルマンフィルタを用いた挙動予測プログラムを中心に整備した。 2. 安全管理システムの基本となる考え方および手法を検討した。特に、観測結果の統計的処理結果とカルマンフィルタを用いた挙動予測結果の比較に基づいて、データの正常・異常を判断し、その対処方法を確立した。 3. 昨年度に作成したプログラムを基に、コンクリートダムに対する具体的な安全管理システムのプログラムを作成した。本プログラムは、端末から送られてくるダムの変形,間隙水圧,漏水量などのデータを集積・統計処理し、上記の手法に基づいてデータあるいは観測機器の正常・異常を判断し、その対処方法を指示するものである。正常動作試験を繰り返し、プログラムのデバッグを完了した。
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