本研究の本年度の目的は、Vp×Bo加速の原理を利用してプラズマ中の電子又はイオンを高エネルギーに加速するための粒子加速器に関する基礎的研究を行うことであった。その目的達成のために、弱磁場中不均一プラズマに大出力電磁波を照射した際発生するVp×Bo加速機構の詳細な解明を行う。特に、電子とイオンを独立に加速するための方策を探る。更に、電子(又はイオン)加速器の小規模なモデル装置を設計・製作し、基礎的な実験結果を得、大型加速器への足掛りをつかむことであった。以下に本年度の研究成果の概略を示す。 〔【I】〕まず、弱磁場中不均一プラズマに大出力電磁波を照射することによる電子加速におけるVp×Bo加速機構の詳細を調べた。使用周波数は2.856GHz(増幅器の関係上中心周波数は固定、バンド幅±50M【H_2】)であり、それに対応するプラズマ遮断密度は1×【10^(11)】【cm^(-3)】である。最大出力約11KWのマイクロ波を照射した際のプラズマ吸収電力は約7.5KWであった。印加定常磁場は最大11Gであるが、通常5G近傍で実験を行った。その結果、(a)加速された高エネルギー電子は最大約1KeVのエネルギーを持つことが明らかになった(プラズマ熱電子エネルギーは約5eVである)。但し、現状では正確なエネルギーの同定はエネルギー分析器がないため困難である。(b)Vp×Bo加速の原理により放出される高エネルギー電子以外に、Wo【〜!-】Wpe近傍からも数百eVの高エネルギー電子が放出されていることが明らかとなった。この機構もVo×Boの1変形として説明される。 〔【II】〕小規模加速器の実現へ向けての設計を行った。この場合はプラズマを使用しないVp×Bo加速器を遅波回路を使用して実現することを考えた。その結果相対論的効果の入る高エネルギーになると現在の原理は有効に働くことが明らかになり、通常の線形加速器より20〜30%程度高効率が得られることが予想されている。
|