研究概要 |
前年度に導入されたX線マイクロアナライザJXA733の試運転と分析テストは今年度初期に終了し、研究試料の分析が可能となった。 その結果、次のような種々の研究が遂行され、成果は予定されたものを含めて多くの学会において発表されるに至った。 1.秩父帯のアンカラマイト質緑色岩中に残留するガラス片を分析し、それが著しくFeとNaに富む特異な組成をもつことを見出した。 2.日高変成帯南部において、変成鉱物とくにMg・Fe角閃石および斜方輝石を含む組合せにもとづく変成分帯に成功した。 3.東北日本の第四紀火山フロント沿いの火山におけるカルクアルカリ岩系列および低アルカリソレアイト系列の岩石の斑晶鉱物を詳細に分析、研究し、マグマの生成、混合および分化の過程における物理化学的条件を解明した。 4.同じく火山フロント沿いの巨大火砕流のうち、福島県の白河火砕流群の詳細な層序区分に、含有鉱物の化学分析がきわめて有効であることを明らかにした。 5.Zn・Mg珪酸塩鉱物におけるZnの状態分析を行ない、結晶内における結合・酸化の状態を明らかにした。 6.やまと隕石691の生成機構を、構成鉱物分析にもとづいて解明した。 なお、今年度は本研究に関連して、試料の収集をふくむ野外調査研究(橋本:三波川変成岩)ならびに学会における研究連絡および情報収集等を行なった(田切,高橋,木村,藤縄)。
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