研究課題/領域番号 |
59430012
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属製錬・金属化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂尾 弘 名大, 工学部, 教授 (30022966)
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研究分担者 |
藤澤 敏治 名古屋大学, 工学部, 助手 (20115629)
鰐部 吉基 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023150)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 耐火物 / 滓化反応 / 気孔率 / 気孔径分布 / 通気率 / 比表面積 / 接触角 / 浸透現象 |
研究概要 |
金属材料の工業的製造における溶製プロセスでは必然的に耐火物が関与し、このために生ずる金属の汚染はさけることができない。しかし、従来の耐火物の侵食あるいは耐火物による金属の汚染の機構に関する研究は、いずれも因果関係の追求が局所的であるため、多成分の不均質な混合体である耐火物の性状が製造および使用条件により変化することを考慮すると、不十分である。そこで本研究は、耐火物の内部および表面の性状と溶融スラグによるぬれや浸透との因果関係を同一試料を用いて系統的に追求した。 実験は大別すると6種類である。まず耐火物の内部性状を定量的に特性化するために、次の4種類の測定を方法や表示法の改善を含めて実施した。 1.減圧と煮沸との2つの水置換法による気孔率や吸水率の比較検討 2.耐火物と水銀との接触角の実測と水銀圧入法による気孔径とその分布 3.圧力を制御した数種の気体と水による通気率の測定および屈曲度の推定 4.クリプトンガスを用いる改良BET法による気孔内表面積の定量 次いで、耐火物の表面粗さを実測し、その溶融スラグによるぬれを液滴法を用いて観察した。さらに耐火物の滓化反応を伴うスラグの耐火気孔内への浸透について実験した。 以上の知見に詳細な検討を加えると共に、物理化学と定量現象論を適用して総合的に解析した結果、個々には矛盾を呈する基礎実験の知見と実際上の現象においても、統一して定量的に説明できることを導いた。本研究成果は、従来実際の現象と工学との定量的な関連が不足しているこの分野において重要な指針となる。それ故、成果を国内の学術雑誌に5篇の論文としてまとめて報告すると共に、その概要を綜合して米国のワシントンで開催された第5回国際鉄鋼会議で公表した。
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