研究概要 |
1.Na吸収能を異にする作物における積極的吸収能と積極的排除能の発現限界濃度と根における積極的排除能発現部位 (1)Na吸収能が弱いコムギでは、培地のNa濃度が0.05mMで既に強い積極的排除能を発現し、吸収能が中間的なダイコンでも0.05mMから弱い積極的排除能を発現した。吸収能が強いビートでは8mM以下では積極的にNaを吸収し、Na鳶除能は8mM以上の濃度で発現されると推定された。 (2)根の先端2mm,中位部および基部の横断面各部位におけるNaの集積をX線マイクロアナライザーで測定した結果から、コムギでは根の細胞のすべてが強いNa排除能を保持しており、ダイコンの根細胞ではNa排除能がコムギよりかなり弱いが、Na排除能はおもに皮尸細胞と内皮細胞で発現されていると考えられた。 (3)Naの地上部移行制御機能としては、根細胞のNa排除能によって細胞内にNaをとりこまない機能と、内皮尸を通過させない機能が重要であり、導管に入ったNaが上昇する過程でNaを隣接する柔組織細胞に排出し、さらに外部へ排出する機能の存在も推定された。 2.高Al耐性と低P耐性のコムギ品種間、コムギ、オオムギ、エンバク3作物種間比較 (1)日本、アメリカ、CIMMYTで育成された高Al耐性品種を含む計10品種の高Al耐性は、日本のハルミノリが最強であり、水耕培養法で判定した高Al耐性と低pH土壌に対する耐性とはよく対応した。 (2)根の高Al耐性と個体としての生育における高Al耐性との間には密接な関係があり、Alによって根の伸長阻害を受けやすい品種は地上部生育も阻害された。この関係はコムギ品種間でも3作物種間でも同様であった。(3)高Al耐性の品種間差は3作物種間差より小さかった。 (4)土壌の低P条件に対する耐性のコムギ品種間差は小さく、3作物種間ではオオムギ>エンバク>コムギであった。
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