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1985 年度 実績報告書

酵素機能を合成戦略に組入れた立体選択的抗生物質の合成研究

研究課題

研究課題/領域番号 59430024
研究機関東京大学

研究代表者

大野 雅二  東京大学, 薬, 教授 (00111550)

キーワード豚肝臓エステラーゼ / 4-シクロヘキセン-1 / 2-シス-ジカルボン酸メチルエステル / カルバペネム / ホーチミシン / ミルベマイシン / アバメクチン / リゾキシン
研究概要

シクロヘキサン骨格を持つキラルなシントンは有用天然物の立体選択的合成に大きく役立つ。それ故酵素機能を利用して有機合成と組合わせるアプローチを検討した。その結果、4-シクロヘキセン-1,2-シス-ジカルボン酸ジメチルエステルが豚肝臓エステラーゼにより、効果的(化学収率98%・光学収率96%)に光学活性ハーフエステルになることが示され、かつ大量合成(〜100グラムスケール、必要ならKgスケールでも問題ない)ができる実験条件を確立することができた。このハーフエステルは、カルボン酸とエステル基をそれぞれ選択的に化学変換できるばかりでなく、6員環に含まれる二重結合を利用して多官能性シクロヘキサン誘導体を希望する光学活性体とすることが可能なものである。本研究はこのコンセプトを実証するため以下の4つの目標分子の全合成を行なっているものである。
(1)カルバペネム抗生物質合成の新アプローチを上記ハーフエステルを用いて行ない、新方法を確立し、さらに構造活性相関に役立つ展開を行なっている。
(2)ホーチミシンに代表されるアミノ酸糖体抗生物質のアミノサイクリトール部位の効果的合成法を完了した。それ故糖部位の新合成法に着手した。
(3)マクロリド系抗生物質中非古典的マクロリドと呼ばれる、ミルベマイシン,アバメクチン,リゾキシンなどの全合成で最も重要な部位である6員環部位の合成にほぼ成功した。これらは全合成の鍵中間体となるものである。本研究結果は、現代のバイオテクノロジーの観点から酵素利用としても重要であるが、天然物を逆合成で対称化し、酵素で一挙に不斉中心を導入し、ついで有機合成的手法を駆使して、生理活性天然物及びその同族体を得る新しい道を開拓している点に意義があると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] IUPAC第5回国際有機合成化学会議. (1985)

  • [文献書誌] Tetrahedron Letters. 26. (1985)

  • [文献書誌] 有機合成化学協会誌. 44. (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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