研究概要 |
本研究は以下に記した通り、当初の計画に沿ってほぼ順調に進展している。 1.プロテアーゼ変異株(TR-5)による感染防御能の誘導。 TR-5はこれまでのTR-2とは独立に分離したtrypsin-resistant,chymotrypsin(CT)-sensitive mutantである。CT処理active TR-5をマウスに経鼻接種後3週目で野性株20L【D_(50)】を攻撃し感染防御能を見た。その結果ICRではマウス当り0.5HAUのウイルスで感染防御が成立する。これに対してCT-非処理inactive TR-5の場合は5HAU,エーテル処理ウイルスの腹腔内投与では160HAUが必要である。 2.Protease mutantは種々のマウスに感染防御能を誘導し得る。 TR-5をDBA/2に投与した場合にもICRと同程度又はそれ以下の投与量で感染防御が成立する。この事はProtease mutant はいろいろな種類のマウスに感染防御能を賦与し得る可能性を示している。 3.Protease mutantの塩基配列。 TR-2,TR-5はclcavage site mutantと考えられるので、その塩基配列を決定すべく研究中である。 4.TR-5の遺伝的安定性の検討。 TR-5をマウスに投与した場合にマウス肺から回収されるウイルスを調べた限りrevertantを検出する事は出来ない。然しトリプシン存在下に長期間(2週間以上)培養する事によりプラックが検出された。現在このウイルスの性状を解析中である。 5.TR-5投与マウスの感染防御機構の解析。 DBA/2マウスを用いて、TR-5投与後に誘導される感染防御機構を、血清及び気管支洗條液中の抗体の消長、細胞性免疫を調べる事により解析し、その結果をエーテル処理ウイルスを腹腔内投与した場合と比較すべく、研究中である。
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