研究課題/領域番号 |
59440034
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
本間 守男 神戸大学, 医学部, 教授 (10004566)
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研究分担者 |
堀田 博 神戸大学, 医学部, 助手 (40116249)
村上 勇 神戸大学, 医学部, 助手 (60107951)
藤田 宣哉 神戸大学, 医学部, 講師 (30030844)
竹原 学 神戸大学, 医学部, 助教授 (40030829)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | センダイウイルス / HVJ / プロテアーゼ変異株 / トリプシン / キモトリプシン / 開裂部位変位 / 生ワクチン / マウス感染防御 |
研究概要 |
センダイウイルス(HVJ)は、エンベロープと細胞膜との融合により、遺伝子を細胞に侵入させる。我々は、このエンベロープ融合には、F糖蛋白が、トリプシンまたはそれに似た酵素でF_1とF_2とに特異的に開製し、FのN末側に疎水性のアミノ酸配列が出現する必要のある事を明らかにした。これを基に、HVJがマウス肺に選択的に病変を起こす機構を探り、肺の気管支上皮細胞中にトリプシン様酵素を見出し、これがウイルスを活性化するために多段増殖が起こり、その結果肺病変が現われるとの考えを提出した。これを検証する目的で得られた変異様TRは、トリプシン抵抗性で、代りにキモトリプシンで活性化されるが、マウス肺では一段増殖しかできず病変を起こし得ない。然し、このマウスは野生株の攻撃を完全に防御する。本研究の目的は、TRの性状、感染防御機構の解析、およびその生ワクチンとしての適格性を、マウスの系に於て確立する事にある。 研究成果の要約。1.TR株の性状。TRはトリプシン抵抗性と同時に、野生様に比しキモトリプシン感受性が高い。これには、F蛋白の開製部位の変異が関与している。 2.感染防御機構。TRの感染防御は、エーテル不活性化ワクチンに比し、遥かに強力である。これは、TR接種の場合には、ウイルス特異的な細胞障害Tリンパ球が誘導されるためである。 3.生ワクチンとしての適格性。TRの感染防御は、マウスの系統を越えて観察され、一年後の追加免疫により増強する。同一ケージ内での同居感染は起こらず、且つ噴霧接種により、一度に大量のマウスを取り扱い得る。これらの事は、TRの生ワクチンとしての適格性を示している。 結論:センダイウイルスの変異株TRは、開裂部位に点変異を持つウイルスで、生ワクチンとしての適格性が立証された。
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