研究概要 |
本年度の研究成果は下記の通りである。 1.血漿交換療法 ラットの四塩化炭素障害肝において、交換輸血が肝障害回復作用を示したが、有効性は血漿補充とくに凝固因子【II】,【V】,【VII】にあると推定された。 交換輸血が無効であったラットのジメチルニトロサミン障害肝では、肝血管内凝固の合併がみられ、これが障害の進展をきたしている可能性が示唆された。これに対して、アンチトロンビン【III】を投与し、血管内凝固の治療を行うと、肝障害は量依存性に改善した。 2.グルカゴン・インスリン(GI)療法 ラットの肝障害モデルにGI療法を行うと、上昇していた45Caの肝組織へのとり込みは低下した。ラットの初代培養肝細胞でも同様の結果が得られ、本療法の肝障害防止作用が推定された。培養肝細胞で、quin【II】を用い、free【Ca^(++)】の動態を検討中である。 ラットで部分切除した肝を経時的に摘出し、スライスとして培養しそのornithine decarboxylase活性と両ホルモンとの関係をみると、いづれのホルモンも【G_1】初期に作用しODC活性上昇をもたらすと推定された。両ホルモンには共役作用が認められた。 3.その他 各治療法の脳圧への効果判定をするため、ウサギの肝障害モデルを用い、安定した脳圧のモニタリングを開発中である。 脳症起因物貭を各種肝障害モデルの血中で、高速液クロにより分析中である。
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