研究課題
一般研究(A)
1.急性肝不全(劇症肝炎)には、肝細胞障害進展時期の異なったものが混在している。脳症発現の機序は、肝機能低下のみには依らない。また、肝血管内凝固がおこり肝障害増悪因子となり得るが、その成立には類洞壁細胞の変化が必須条件と推定された。2.グルカゴン・インスリン療法は、肝再生および機能回復促進作用を有し、急性肝不全治療に有効であるが限界がある。薬剤性急性肝不全では、本療法開始時期に注意を要すると思われた。3.血漿交換,交換輸血療法は、肝機能回復に有効であるが、病態により異なる。SGPT値高値のものがより良い適応と推定された。4.坑トロンビン【III】は肝血管内凝固の治療に有効である。5.肝オルニチンデカルボキシラーゼは肝再生過程に重要で、これを用いた細胞周期【G_1】初期に作用する因子の検出法を確立した。6.ラットの上皮成長因子を精製し、その測定系を確立した。7.新たな肝障害進展防止剤として、プロスタグランヂン誘導体を得た。以上から、急性肝不全の治療を確立するには、従来一律に扱われてきた病態を充分に分析し、現在の治療法でも的確に施行することが重要であると考えられた。また、新しい治療法開発へ向けて基礎となる若干の成果が得られた。
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