研究概要 |
肝硬変における肝癌合併予知のリスク・スコアを確立した。すなわち肝硬変と診断後少くとも1年以上を経て肝癌合併の明らかとなった75例と肝癌合併を見ずに死亡したか、未だ肝癌合併の明らかではない300例を対象として、性・年令や腹水・血中HBs抗原・アルコール歴など肝硬変と診断時比較的容易に入手しうる10個のリスク・ファクターを取り上げ、コンピューター解析し各々のリスク・スコアを算定、最初にえられた複雑な数値を簡易化、最高10点、最低0点となるように設定した。Retrospectiveな検討の結果6点以上が超高危険群と考えられた。リスク・スコア設定後20例の肝癌合併例と10例の非合併剖検例が集積された。前者の平均リスク・スコアは6.6点で、後者の4.2点より有意に高く、前者の9例が根治切除された。従がって本リスク・スコアは肝硬変における肝癌合併予知とくに根治切除例の早期発見に有用と考えられる。 先に樹立しえたヌードマウス移植ウッドチャック肝細胞癌継代系を利用し、ウッドチャック肝癌培養細胞系を確立、WH257GE10と命名した。本培養細胞系には安定した状態で、WHVDNAが組込まれており、この組込まれたDNAをクローニングしたところ、WHVゲノムの組込みとともにAC-cluster,T-clusterおよびAT-clusterがみられた。これらの組込みが肝発癌と何んらかの関連を有していることが推測された。 ヒト肝細胞癌培養系の1つであるアレキサンダーcell lineについて、成長因子growth factorの1つであるAsialogly coproteinのreceptorの有無を調べた結果、弱いながらもその存在が明らかとなった。またインターフェロンを作用させたところ、明らかに成長抑制作用が認められた。
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