研究課題
一般研究(A)
1人膵癌培養細胞株樹立:現在まで12株樹立しえた。うち6株については生化学的、生物学的検討を行い、膵管由来腺癌のモデルとなりうることが判明した。2膵癌の抗癌剤・温度・放射線感受性:1)抗癌剤感受性:日常臨床で使用される抗癌剤に対する膵癌の感受性に差はみられるが【ID_(50)】をみる限り臨床上十分到達可能な濃度であった。またACRとMMCの併用に相剰効果がみられた。2)温度感受性:膵癌に対しては37℃の加温では2時間以上の加温時間が必要であった。3)放射線感受性:膵癌は低酸素細胞の割合が高く放射線抵抗性であった。一方、低酸素増感剤の併用により高線量域で増感比1.37と特異的増感効果がみられた。3抗膵癌単クロン抗体F30の作成:膵癌培養細胞PK1をマウスに免疫し、人膵癌細胞と高率に反応する単クロン抗体F30を得た。この抗体は膵癌細胞膜上の分子量19万の蛋白と結合し、また他の腺癌組織および消化管粘膜とも交差反応した。4:【^(131)I】ラベル抗体F30での腫瘍局在部位診断に関する検討:今回の検討では【^(131)I】抗体の特異的腫瘍集積は認められなかった。5EBvirusトランスフォームB細胞を用いた人由来抗膵癌抗体の作成:840wellのB cell株から自己膵癌組織と反応する2株を得たが抗体分泌能は不安定であった。6膵癌切除標本灌流液中細胞診:灌流液中細胞診で膵癌細胞を認めたことから術中より不顕性肝転移の存在する可能性が示唆された。 7アドリアマイシン(ADM)封入リポソームを用いた膵癌の抗癌剤感受性試験:ADM封入リポソームは遊離ADMより制癌効果は低く、膵癌特異的反抗体をリポソームに結合させて用いることが必要と思われた。
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