1).トリフルオロ酢酸の胆汁中排泄に関する研究 ウサギを用いて、ハロセンとイソフルレンの共通代謝産物であるトリフルオロ酢酸(TFA)の胆汁中濃度をイオンクロマトグラフィーで経時的に測定した。イソフルレンの呼気濃度とTFAの濃度に比例関係(TFAの濃度(nmol/30min)=27メイソフルレンの呼気濃度(%))が見られたが、ハロセンの場合は低濃度(0.1%)から臨床使用濃度(1.5%)までほぼ一定量(700μmol/30min)が排泄された。この結果から、両者のTFA生成過程、あるいは排泄過程に相違のあることを認めた。 2).セボフルレンの代謝に関する研究 臨床第一相試験中の患者を対象として次の結果を得た。イ)血中セボフルレン濃度:吸入開始後15分目ですでに平衡に達し(359.8μmol/L)吸入中止後30分で十分の一に減少した。ロ)血中フッ素濃度:セボフルレン2%を1時間吸入させることにより血中フッ素濃度は吸入中止後30分目に14.8μmol/Lになり、生物学的半減期は24時間であった。ハ)尿中フッ素排泄:尿中無機フッ素排泄は12〜24時間に最大となった(325.5μmol/12hrs)。36-48時間目にこの値は約半分に減少した。ニ)その他の代謝産物:セボフルレンの代謝産物と思われる物質がイオンクロマトグラフィーで分離定量された。この物質の排泄量は12-24時間目に最大となり36-48時間目には約半分に減少した。3日目には検出されなかった。また血中からは検出できなかった。この物質はグルクロニダーゼで消費された。またセボフルレンの原料であるヘキサフルオロイソプロパノールのグルクロン酸抱合体のイオンクロマトグラフにおけるリテンションタイムとは異なっていた。 3).分解に関する研究 2年間にわたる紫外線等による分解実験を行なっているが各麻酔薬共安定で、不純物の増加、分解物の生成はみられなかった。
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