研究課題/領域番号 |
59440067
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
熊本 悦明 札幌医大, 医学部, 教授 (40045323)
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研究分担者 |
岡山 悟 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70128510)
広瀬 崇興 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80136960)
酒井 茂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20117625)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 淋菌のone shot療法 / C.trachomatisのIgA及びIgG抗体測定 / 性器ヘルペスのHPV-1及びHPV-2 / 尖型condylomaのHPV-6、11及び16 |
研究概要 |
STDの疫学調査の重要性が叫ばれて久しいが、正確な統計は本邦ではない。そこでそれを補う意味で、各種STDの対淋菌感染症比を出し、その実態を推定する以外にないが2万人のSTD症例を集計し、その淋菌症例を100として比率を算出したところ、非淋菌性尿路性器が145、尖型condylomaが26.7、性器Herpes16.1、早期梅毒が7.6、Chlamydia trachomatis感染症は淋菌感染症の22.8%、非淋菌性感染症の40.1%なので合計の対淋菌感染症比は100の同数となっている。このdataからするとアメリカより淋菌に対する比が梅毒は2倍であるのに、他の諸STDは逆にほぼ2/1になっている。Virus性STD時代といわれている世界的傾向の中ChlamydiaやVirus性疾患の分後増加してゆくことが予想される。 ただ問題なのは本邦におけるSTD診断技術普及の遅れが目立ったことである。ことに一般臨床における女子の炎症性STDの診断が正確に行われていないことが疫学調査上の弱点となっているといえる。たとえば積極的に調査を行った一般家庭夫人の妊娠例におけるChlamydia trachomatis検出率が6.8%にも上り、しかも無症状の無自覚感染である。この様にひそかに潜行する感染が淋菌にもアメリカ並に認められるとすれば、公衆衛生的立場から臨床医のSTDへの意識を改めるべき啓蒙処置が必須であることが、我々の疫学調査から明らかになった。 各STD疾患の臨床像の研究としては(1)淋菌におけるB-lactamase産生菌のplasmidがすべて東南アジア型であり、その分離率が10数%であること、(2)Chlamydia trachomatisの抗体IgG-IgA検査が必ずしも疫学調査として意味をもたないこと(3)臨床Herpesの診断にIF直接塗洙標本検査でのVirus検出が培養のわずか手数にしかならず、培養が必須であることなどを明らかにした。
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