研究課題/領域番号 |
59440069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水野 正彦 東京大学, 医学部(病), 教授 (10010175)
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研究分担者 |
上妻 志郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (30143457)
岡井 崇 東京大学, 医学部(病), 講師 (40126016)
桑原 慶紀 東京大学, 医学部(病), 助教授 (20010324)
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キーワード | 胎児生理 / 周産期医学 / 子宮外胎児保育 / 胎児脳波 / 人工子宮 |
研究概要 |
過去2年間において開発改良してきた子宮外胎仔保育装置にさらに以下の改良を加え、より長期の生存を可能にした。また、それに伴い、安定した状態が長時間得られるようになり、胎児生理に関する研究を同時に行った。 1.本年度の改良点・(i)従来、臍帯動脈からの体外循環への脱血量は、血液貯留槽を一定の高さに保持することによる静水圧で調節していたのに対し、脱血カテーテルに抵抗を加え流量を調節することにより、心臓の収縮機能に応じた脱血が可能になった。(ii)前年度より体外循環回路に透析装置を加え、低ナトリウム血症の補正を行ってきたが、今年度はさらに体外濾過圧調節装置を導入し、水出納を容易に調節できるようになり、全身浮腫のコントロールが可能となった。(iii)胎仔の低血糖がアシドーシスの進行の一因と考えられたため、血糖測定及び10%ブドウ糖持続点滴を行い、適切な血糖値を維持することにより、アシドーシスの進行が抑制された。(iv)体外循環の長時間持続に伴い赤血球が破壊され、貧血、高ビリルビン血症が出現してくる。交換輸血を行うことにより、循環血液量を変化させずに、これらを補正することができた。・以上の改良に伴い、最長生存期間は10日間に及び、100時間以上の生存も安定して得られるようになった。 2.胎児生理に関する研究・(i)胎仔中枢神経系の発達に関する研究。胎仔脳波を記録し、胎齢に伴う変化を観察した。胎齢119日以降では脳波活動に周期性が認められ、胎齢が増すにつれて、α・β波含有率は増すことが明らかとなった。(ii)胎仔酸素消費量に関する研究。ヤギ胎仔では体重に見合った酸素消費が行なわれており、胎齢が進むにつれてレム睡眠期の酸素消費量の変動が、ノンレム期に比し、大きくなることが明らかとなった。
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