研究概要 |
○北川…計画初年度では、24時間の胎仔培養が可能になったので、今年度はさらに長時間の培養を試みた。その結果72時間までの培養が可能になり、化学物質の催奇形性の作用機序の解明に大いに役立つことが分った。また胎仔の循環動態を評価するためにレーザードップラー血流計の利用を計画したが、研究の進展により、同様に胎仔障害のない実体顕微鏡写真撮影法の応用がより有用性に優れることが分った。さらに奇形発現機構解明のために、ラジオアイソトープの使用が極めて有用であることが分った。催奇形性発現物質の培養法での奇形発現濃度は、in vivoでの発現濃度とよく相関しており、培養法での適用濃度決定には、in vivoの血中濃度を指標にすればよいことが分った。培養胎仔による外来物質に対する防御材構の解明には、ラジオアイソトープの利用も重要な手段と思われた。 ○上野…妊娠12日のラットにカフェイン250mg/kgp.o.した時、投与後2〜24時間後の血清中カフェイン濃度は約100〜125μg/mlであった。そこで妊娠12日のラット胎仔を24時間回転培養した時、カフェイン 100μg/mlの添加で上がく部と前肢に血腫が認められた。この時、羊水中カフェイン濃度は約60μg/mlであり、添加量の60%が胎仔に直接作用していたものと思われた。 ○五十嵐…グルタチオン抱合反応を触媒する酵素であるグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)の性差について、ラットの肝を用いて検討した。雌雄ラット肝GST構成サブコニットYa,Yb,YcのSDSPAGEによる解析結果から、GST各サブユニットの構成比に明らかな性差が認められた。雄ではACタイプが雌ではBLタイプのアイソザイムが多く存在することが確認された。 ○大森…チトクロームP-450の種差について、テストステロン水酸化活性を指標に、種々の実験動物を用いて検討中である。
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