研究課題/領域番号 |
59450020
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 甫 北海道大学, 教育学部, 助教授 (90002146)
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研究分担者 |
岩城 完之 山梨大学, 教育学部, 教授 (10001794)
杉村 宏 北海道大学, 教育学部, 助教授 (20113574)
木村 保茂 北海道大学, 教育学部, 助教授 (40003959)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 企業共同生活体 / 職場共同生活体 / 企業経営哲学 / 共同価値形成 / 労働過程 / 職場構造 / 労働組合 / 生活過程 |
研究概要 |
本研究は、大企業労働者の「企業共同生活体」の構造を、企業経営哲学に関する思想史的分析、労働過程と職場構造に関する社会学的分析、共同価値形成に関する教育社会学的分析、の総合として把握しようとしてきた。インテンシイヴな面接調査を含む主な調査対象は、松下電器産業株式会社グループ・S社の、大阪本社工場、九州工場である。S社は1979年に分社として分離独立したが、松下グループの伝統的な経営哲学を一番濃厚に保持していると、グループ内においても評価されている企業である。 松下電器のような経営哲学の明確な企業グループにあって、末端のライン労働者がその経営哲学をどう把握し、企業内外において如何に自己の価値規範としているのか。-調査の結果わかったことは、企業共同生活体は何よりもまず職場共同生活体として実在することである。職場共同生活体は、労働過程の編成と、それを基盤として労働組合の活動によって組織される職場社会の構造とで、その骨格が与えられる。つまり、最新鋭の生産システムの導入によるラインの再編は、職場社会のあり方を変えたのは確かだが、同じ最新鋭ライン職場でも職場共同生活体のあり方は、職場レヴェルでの労働組合のあり方によって、大きく異っているのである。 松下電器グループでは、経営と労働組合を、その企業目的(貧乏の社会的追放のための生産の増大)達成の両輪と考えている。とくに1960年代半ば以降、「対立と調和」の労使関係を作りあげてきたが、そうした中で一定の労働環境、労働条件を獲得し、仕事に張り合いをもって日々の労働に従事する労働者が圧倒的に多い。しかし、若い人の中ではそうでない人の方が多数を占め、また自分の子供を松下に入れるかというと迷う人もいる。このことは、職場共同生活体が長期的には、企業外の生活過程のあり方によって、逆規程されていることを意味している。
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