研究概要 |
1.砕波の水理特性に関する研究。 過去3年間、沖波波形勾配が0.019〜0.048の範囲にある4種の波を用いて、1/15勾配の固定床海浜上において、砕波点を中心としたその前後の領域で水面形,ホットフィルム流速計を用いた水粒子速度の測定を実施し、砕波の水理特性を明らかにするとともに、漂砂移動との関係を検討してきた。得られた結果を要約するとつぎのようである。(1)ホットフィルム流速計用に新しく開発した較正装置は従来の方法に比べて比較的容易に較正が可能である。(2)砕波の突入点付近におけるレイノルズ応力の時間的変化から、ejectionやsweep現象が明らかとなり、乱れの発生・発達,底質の浮遊と密接な関係をもつbursting現象が認められた。(3)水平方向の乱れ強度の空間分布から沖波波形勾配が大きい場合、砕波点沖側の水面近くでも、その値が大きく、沖向きに乱れが伝播されること、この乱れによる浮遊砂の運搬がみとめられた。 2.二次元海浜地形の変動に関する研究 前述と同じ条件の波を作用させて模型海浜(初期勾配1/15)の変動を実験的に検討した。その結果、直交多項式近似による海浜地形の表現は巨視的にはかなりよく一致すること、ならびにこの直交多項式を適用して岸沖漂砂量を算定したところ従来の結果に比べて巨視的挙動とくにその時空間分布を明らかにすることができた。一方、地形変化には巨視的変化の他にランダムに変動する微視的変動もみられるが、それらについての知見はまだ得られていない。直交多項式に含まれた係数を時間の関数としてその挙動を調べたところ目視による平衡状態がかならずしも妥当でないことが明らかとなった。
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