研究概要 |
ラット遊離肝細胞を用いて、スルホブロムフタレインの細胞への取り込みにアルブミンが促進的に働く事を示した。【^(125)I】で標識したアルブミンを用いて肝細胞との結合を調べると、いわゆる"アルブミン・レセプター"の存在を示唆する結合は認められず、その相互作用は非特異的であった。両者の相互作用は、アルブミンおよび肝細胞膜、各々に構造変化を引き起こしていることをESR,吸収差スペクトル,蛍光偏光解消法によって明らかにした。更に、膜変化は物質の透過性をも亢進している可能性をリポゾームを用いて示した。吸収促進剤の作用機構を腸管膜の細胞間と細胞内ルートから検討した。促進剤は薬物だけでなく水吸収を増大させるが、細胞間促進剤(EDTA,タウロコール酸(TC),カプリン酸(C10))の効果は、Na-Kポンプ阻害剤ウアバインにより消失し、水吸収増大は吸収部位の血流増大と関係していることがわかった。細胞間の機構としては膜水路の小孔サイズを、促進剤C10,C12,混合ミセル(オレイン酸+TC)は、イヌリンの透過を可能とする程度に拡大した。細胞内の機構としては、膜流動性等の変化による透過性増大が見い出され、細胞間促進剤はこのルートにも作用した。 ラット骨格筋中の酸性物質を結合するタンパク質,fl-タンパクを細胞質中よりSepadex G-75(superfine)およびクロマトフォーカシングによって分離精製した。このタンパクは間接蛍光抗体法によって細胞間液中に存在することが明かとなり、また一次元免疫拡散法により骨格筋中に2.4mg/g-tissue存在することがわかった。血奬アルブミンを同様な方法で分離すると3つの分画が得られ、fl-タンパクはこれらアルブミンと免疫学的に同一であった。fl-タンパクは薬物結合性,物理化学的,免疫学的にアルブミンと類似しているが、分離パターンの違いは、筋由来のタンパクである可能性も示唆している。
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