研究課題/領域番号 |
59470128
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 英治 北海道大学, 理学部, 教授 (40000723)
|
研究分担者 |
島田 明 北海道大学, 理学部, 助手 (60001848)
荒木 義雄 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000863)
石本 聿利 北海道大学, 理学部, 助教授 (70000776)
|
研究期間 (年度) |
1984 – 1986
|
キーワード | 細胞表層物質 / ポリマー結合部位 / 細胞壁付属多糖 / テイコ酸 / テイクロン酸 / リポテイコ酸 / 結合単位の生合成 / リピド中間体 |
研究概要 |
多種多様な物質から構築されている細胞表層は細胞自体の性質を規定し、細胞間認識・細胞集合・細胞分化等に重要な役割を果している。一方、結合部位に関する知識は多様な細胞表層物質の構築を理解する上に不可欠である。本研究は結合部位の解明を目的とし、以下の成果を得た。 1.広範な細菌細胞壁において、ManNAc(β1→4)GlcNAcあるいはGlc(β1→4)GlcNAcなる二糖単位が各種テイコ酸とペプチドグリカンの結合単位として存在する。 2.英国の研究者らが提案したリビトールテイコ酸に対する結合部位構造の誤りを指摘し、ManNAc(β1→4)GlcNAcまたはManNAc(β1→4)GlcNとオリゴグリセロールリン酸から成る結合単位が共通して存在すること。さらに、グリセロールリン酸残基数はL.plantarumでは1,B.subtilisでは2,S.aureusでは3の如く菌属により異なる。またListeriaではジグルコシル単位が存在する。 3.ポリ(N-アセチルグルコサミン)及びポリ(ガラクトシルグリセロールリン酸)に関しても、同様の結合部位が存在する。また、Glc-GlcNAc型の結合二糖単位は限定された菌属にのみ存在する。 4.他方、複雑な繰り返し単位をもつテイコ酸及び多くのテイクロン酸は特殊な結合部位を介さず、直接ペプチドグリカンと共有結合している。 5.適切なリピド中間体を利用し、段階的に反応を追跡することにより、テイコ酸生合成経路を詳細に明らかにした。特に、結合単位構造をもつリピド中間体の生成がテイコ鎖主鎖の合成に不可欠であり、また二糖リピド合成反応が分枝点となり二種類の結合単位が生成する。 6.リポテイコ酸の構造研究から、結合単位の有無に基づき検討した菌株は2グループに分類できることが判明した。 細胞表層物質の構築機序を解明する際、これらの知見は大いに役立つものと確信している。
|