研究概要 |
構造変換をする活性中心を有するフェレドキシンの代表的なものを大別すると、-Cys××Cys××Cys-Cys Pro-のアミノ酸配列を有する典型的な[4Fe4S]活性中心を形成するものと、4つのCysのうちの1つがAspなどで置換されて、これが鉄原子に配位すれば[4Fe-4S]活性中心ができると思われるものがある。 前者の代表的なものとして、中等度好熱菌Bacillus thermopro teolyticusのフェレドキシンの結晶構造解析を行った。構造解析はNative結晶中にある鉄原子の異常分散効果を利用して進めた。現在2,3【A!°】分解能での解析が進行中であり、R値(R=ΣlFo-Fcl/ΣlFol)は0.33である。分子構造のうち主鎖の折れたたみのトポロジーは[8Fe-8S]フェレドキシンであるPeptococus aerogenesのものと同一である。[8Fe-8S]フェレドキシンの一方の[4Fe-4S]クラスターは中等度好熱菌のフェレドキシンでは欠落しており、この部分はα-ヘリックスになっている。中等度好熱菌以外の[4Fe-4S]フェレドキシンにおいても、このα-ヘリックスに対応する部分のアミノ酸配列はα-ヘリックスを形成しやすくなっている。一連の[4Fe-4S]フェルドキシンの一次構造比較を行い、これらのフェルドキシンの主鎖の折れたたみ様式を一般化することもできた。 後者を代表するものとしてはAzotoboctor Vinelandiiのフェルドキシンがあるが、この結晶構造は様々な観点から疑問視されている。そこでこれと一次構造が似ているMyrobacteriuir SmegmatioのフェレドキシンのX線解析を行っている。この場合もNative結晶の異常分散効果を利用して構造解析を進め、現在のところ結晶中での分子のパッキングを決めることができた段階である。
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