昨年度までに選別した17個のクローンをさらにふるい分け、最終的に当初の目的であった極細形成能を持つpoly【(A)^+】RNAに対するCDNAのクローンを1個得ることが出来た。 このクローンを別のpGEM系ベクターにクローンしなおして、これから、1.このCDNAの塩基配列を決定した。 2.アンタイ・センスRNAを合成させて、胚のpoly【(A)^+】RNA分画を電気泳動したものに反応させる、いわゆるNorthernブロット解析をおこなった。 3.CDNAの一部をリクローンしたものをグローブとしてSouthernブロット解析をおこなった。 4.さらに判明した塩基配列の一部をコンピューターに入力して、既知の遺伝子との照合をおこなった。 以上の結果から驚くべきことが判明した。極細胞形成能を持つこのpoly【(A)^+】RNAはミトコンドリアのリボソームRNAのうちの大型の方と殆んど100%の相同性を示した。このミトコンドリアlrRNAはリボソームRNAでありながらpoly(A)鎖がついていることが知られていたのであるが、どうやらこのRNAがミトコンドリアから外へ出て、全くこれまで知られていなかった別の機能をはたしているらしい。 全く新しい知見であるために、これを国際的に承認して貰うためにはもう少し実験が必要である。現在継続中であるので、これが終ってから最終的にまとめ、論文として発表する予定である。
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