(1)雑草の分布の決定に関与している繁殖様式と環境との関係を解明するためコゴメガヤツリとカヤツリグサの種子の休眠発芽に対する光と変温の関与の経時的変化と種子生産と日長との関係について研究した。また近畿・中国地方の各地から採集したクロモについて、その塊茎と殖芽の萌芽能力を低温およびGAsやIAAなどの外生ホルモン様物質を処理した条件下で検討した。 (2)日光直射下で温度だけを制御できる装置を考案し、カヤツリグサ科雑草の種子の発芽が光でも変温でも促進されることを明らかにした。一年間の貯蔵期間中のコゴメガヤツリとカヤツリグサの種子の休眠性の変化を明・変温条件下の発芽によって検討した。その結果畑土壌中に埋土した種子は1か月で休眠から覚醒するが、コゴメガヤツリの種子は2次休眠に入る場合があること、カヤツリグサの種子は休眠性がより強く、5℃低温貯蔵のものは覚醒の進行が遅いことが分かった。 (3)コゴメガヤツリでは13時間以下の日長で出穂が促進された。カヤツリグサはコゴメガヤツリよりも日長に敏感なようにみられた。 (4)クロモの塊茎と殖芽に25℃恒温の明と5℃低温の暗の処理を繰り返して施した。Y系統とB系統とは25℃暗の前処理と第1回の低温暗処理で全部発芽し、塊茎が殖芽よりも休眠が浅い傾向があった。しかしH系統は第2回の低温暗処理でようやく50%発芽しただけであった。 (5)クロモの殖芽の萌芽に対してはIAAの影響は小さかったが、GAsの10ppmと100ppmとで伸長量、萌芽率ともに高かった。低温はGAsとともに多くの系統の殖芽の伸長と萌芽の促進に有効であった。
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