研究課題/領域番号 |
59480076
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
畜産学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
正木 淳二 東北大, 農学部, 教授 (70101152)
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研究分担者 |
佐々田 比呂志 東北大学, 農学部, 助手 (90158931)
梅津 元昭 東北大学, 農学部, 助手 (30005649)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | ホスホリパーゼ【A_2】 / インヒビン / ホルモン / 生理活性物質 / 精液 |
研究概要 |
家畜精液中に含まれる化学物質の中には、動物種を特徴づけるもののほかに、血中にも見いだされる生理活性物質が存在する。しかし、その動態や生理的意義については、まだ解明されていないものが多い。本研究ではその中から特にホスホリパーゼAおよびインヒビンをとりあげ、精漿中の活性を測定するとともに出現の意義を検索した。ウシ精漿には細胞膜の構造に影響を及ぼす物質が含まれていることを観察してきたが、この作用にホスホリパーゼA関与の可能性が考えられたので、ウシ精漿中の酵素活性を測定し、ブタおよびヒト精漿の成績と比較した。その結果、ホスファチジルコリンを基質としたときのホスホリパーゼA活性は、ウシ精漿が最も強いことがわかった。精子の細胞膜に及ぼす牛精漿の影響を細胞化学的および免疫電顕的に検索するため、精子膜のコンカナバリンA結合能、カチオン化フェリチン結合能、各種脱水素酵素の活性および精子の運動性に及ぼす影響をしらべた。その結果、ウシ精漿には精子の受精能獲得誘起に用いる体外受精用培養液と一部、共通した作用のあることを見いだした。これまで、哺乳動物の精漿は精子の受精能獲得を阻止する因子を含むといわれてきたが、本研究の結果はウシ精漿に受精能の獲得を推進する作用のある可能性を示した。このことをホスホリパーゼAとの関連で実証することが今後の課題として提起された。精漿中のインヒビン活性については、ヤギ精漿を主材料として測定し、生物学的および理化学的特性をしらべた。その結果、ヤギの精漿インヒビンは精巣由来のもので、理化学的性質は両者間で本質的に変わらないが、精巣上体を経由して精液中に出現するまでに活性が低下すること、分子量は約14,000と推定されること、血中FSHと関連した季節的変動を示すこと、を見いだした。また、ウシの実験により、精漿抽出物は同種、同性個体のFSH分泌を抑制するインヒビン特有の作用を示すことを明らかにした。
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