研究概要 |
本研究の目的はマレック病(MD)の腫瘍免疫における腫瘍細胞表在抗原の役割を解明することにある。MDリンパ腫由来株化細胞の表面には腫瘍細胞に特異的なMATSAの他に、正常細胞の表面にも存在している鶏胎仔性抗原,栓球抗原,主要組織適合抗原などの種々の抗原が発現している。今年度は主としてMD株化細胞であるMSB1細胞に特異的なMATSAの生化学的性状を單クローン性抗体(2B9)を用いて検討し、以下の成績を得た。 1。抗MATSAウサギ血清による2B9のブロッキング酵素免疫定量試験で抗MATSAウサギ血清は最高85.5%、2B9の反応を抑制した。 2。可移植性MD腫瘍細胞であるMSB1-Cl0.18細胞のタンパク分解酵素処理試験において、2B9の当該細胞に対する反応性は、トリプシンあるいはプロナーゼのいずれの処理によっても完全に消失した。 3。MSB1-Cl0.18細胞のツニカマイシン処理試験において、2B9の当該細胞に対する反応性は約20%減少した。 4。MTASAは37℃、30分間の熱処理では安定であったが、56℃、30分間の加温で不安定となり、70℃、30分間の処理によって完全に失活した。 5。MATSAは中性-強アルカリ性では安定であったが、pH6以下の酸性側では不安定であった。また、NaI【O_4】処理により、その活性は20-30%低下したが、ノイラミニダーゼ処理では活性低下はみられなかった。
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