研究概要 |
Real-time超音波断層法(EUB-25Mおよび200,3・5MHzと5.0MHz探触子)により、乳牛において発情周期中の卵巣・子宮の観察、早期妊娠診断および胎仔の観察、さらに胎仔心拍数等から胎仔生理について檢討した。供試牛はのべ93例で成績の概要は次の如くである。 1.乳牛の発情期前後においてechofreeを示す子宮粘液貯溜像がみられ早期妊娠像(echofreeの胎嚢像)との鑑別は困難であった。 2.乳牛における早期妊娠診断はAI後17〜24日の62例で試みた。診断基準とした胎嚢像は子宮内腔のechofree像として得られた。胎嚢像と子宮粘液貯溜像は極めて類似していた。診断適中率は、21日以前で25%、22日以降で86.4%、全体で45.2%であった。23日以降の例では95%であった。 3.乳牛において胎仔は妊娠29日以降映像化され、その描出は150日前後まで経直腸走査で可能であった。 4.胎仔CRLの計測では胎仔日齢と高い正の相関関係を示し、人工授精、胚移植および2分離胚移植による胎仔CRLの差はなかった。 5.乳牛の胎仔の内部構造は胎齢60日以降描出され、その骨格は当初音響陰影を生じなかった。心臓は胎齢80〜90日以降において心室中隔および左右心室腔の識別が可能であった。 6.乳牛の胎仔心拍数は胎齢30〜60日の間は胎齢と正の相関を示したがばらつきが大きかった。60日以降は胎齢と高い負の相関を示した。 7.胚移植および2分離胚移植による双胎妊娠を、妊娠34,36,77および83日で観察し妊娠早期の胎仔数確認に本法が極めて有用であることが判明した。
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