研究概要 |
1.交換神経節においてAng【II】は同受容体を介して節を興奮させ、本作用はGABAで拮抗されるが、taurineでは拮抗されない。また交感神経終末伝達において、GABAはCaの利用抑制によってノルエピネフリンの放出を抑制し、ある程度の伝達抑制作用を示すが、cysteine,methionineおよびcysteicacidの抑制作用は著しく弱く、taurineはほとんど作用を示さない。したがって交感神経緊張に対し、末梢性にある程度angiotensin(Ang)は上昇、GABAは抑制するが、taurineの作用は極めて弱い。 2.Ang【II】またはreninの脳内投与により、Ang【II】受容体を介して中枢性に末梢交感神経の緊張上昇を誘発して血圧は上昇する。taurineおよびGABAの中枢応用により緊張は下降して、著明な中枢性の血圧下降が現われる。またこれらアミノ酸はAng【II】の中枢作用に拮抗する。このような作用はcysteine,methionine,alanineにはみられず、また拮抗はrenin-Ang【II】に特異的である。 3.Ang【II】およびreninにより中枢性にAng【II】受容体を介して水・食塩摂取が促進される。この促進はtaurine,GABAの中枢投与によって抑制されるが、cysteine,methionine,cysteine sulfinic acid,cysteic acidでは影響されない。 4.このようなrenin,Ang【II】に対するGABA,taurineの拮抗において、飲水・食塩摂取については視索前野は一つの作用部位であるが、血圧については他部位が考えられる。 5.自然発症高血圧ラット(SHR)においては、Ang【II】およびreninによる中枢性の血圧上昇ならびに食塩摂取は著しく促進され、他方taurineの中枢性血圧下降作用は減弱する。 6.SHRにtaurineを持続的に服用させると、このようなrenin-Ang系の中枢作用増強は抑制され、ほぼ正常に回復する。 7.以上のように高血圧には中枢性renin-Ang系の亢進が重要に関与し、taurineはこれに拮抗することによって抗高血圧作用を示す可能性が示された。
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