研究概要 |
ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)に対する抗体を用いた組織螢光抗体法により、ラット脳内ヒスタミン・ニューロン系神経終末はすでに報告した部位以外に、視床,正中隆起,下垂体後葉,内側膝状体,上丘,三又神経中脳路核,後視索交又部などにも密に分布していた。上頚神経節や末梢神経にも分布しており、今後の詳細な研究が俟たれる。線状体,大脳皮質のヒスタミン神経線維を電顕時に詳細に観察した。また、ヒスタミン・ニューロンにはアデノシン,ガラニンが共存していた。抗HDC抗体とモルモットのDOPA脱炭酸酵素(DDC)この免疫化学的交又反応については、ラット肝からDDCを精製し抗DDC抗体を得て、immunoblotting法により抗HDC抗体はラットDD【C_2】は反応しないがモルモットDDCと反応すること、抗DDC抗体はラット及びモルモットDDCと反応するがラットHDCとは反応しないことを示した。この知見は芳香族アミノ酸脱炭酸酵素の進化の面で興味深い。抗ヒスタミン-N-メチル基転移酵素抗体は脳では陽性の反応を与えないため、現在モノクローナル抗体を検討している。ヒスタミンHi-受容体については〔【^3H】〕-メピラミン結合能を指標に含量の多いラット肝臓から可溶化し、Sephadex CL,Bio Gel HTP,Octyl Sepharose 4B,ハイドロキシアパタイトHPLCなどのクロマトグラフィーで約30倍精製した。目下、ジフエンヒドラミン-アフイニティークロマトを検討している。分子量152K。メピラミンに対して2っの結合部位(KD=0.60&4.5nM,それぞれBmax=0.25&1.67pmolelmgタンパク)を有した。ジフエンヒドラミン,d-クロルフェニラミン,トリプロリジンに対してはKi=0.65mMで脳の【H_1】-受容体に対する値の約150倍であった。【H_1】-受容体のサブタイプ2推測される。【H_2】-受容体の方は適当なラジオリガンドがないので、最近、開発されaffinityの強い(〜【10^(-8)】M)ICIA-5165のトリチウム標識化を試みている。
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