研究課題/領域番号 |
59480151
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丹羽 太貫 広島大, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80093293)
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研究分担者 |
稲生 章 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (30116909)
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034618)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | マウス胸腺腫 / トランスフェクション / 形質転換 / Transforming RNA / Mink lung cells |
研究概要 |
先に、16%polyacrylamide gelによる分離からtransforming RNAはribosomal 5s及びtRNA部分の中間に泳動されるRNAであった。このtransforming RNAの生物活性の確認並びに生化学的な同定を目的に、このRNAの高度な精製を行った。一つには20%native polyacrylamide gelを用いて2回の泳動を行うことにより、もう一方では10%denaturing polyacrylamide gelで3回の泳動を行うことにより、夫々transforming RNAを得た。生物活性(in vitroにおける細胞癌化)をみるためにrat fibroblastic cell lineである3Y1細胞を用いた。上記方法で分離されたRNAをtransfectした後、2日目で10cmシャーレにこれらの細胞を移しかえた。その後1週間に2回のmedium changeを行い、transformed fociの形成を検討した。20%ゲル及び10%ゲルによって精製したどちらのtransforming RNAにも潜伏期間43ないし53日でフォーカス形成能を認めた。これらのフォーカスはリングクローンされた後、soft agar中でcolonyを形成することが確認された。この時対照として用いた、他の2種のRNAによってtransfectされた細胞群並びに無処置細胞群にはフォーカスの形成はみられなかった。上記実験に用いたtransforming RNAが充分に精製されているか否かを知るために、RNAの塩基配列を【3^´】末端をラベルした後、化学修飾法により検討した。その結果、【3^´】末端より約110個の塩基の解読が可能であり、それらは既に報告されている核内小分子RNAの一種であるU5RNAに極めて似ていた。これらの結果より、生物活性に用いたRNAは高度に純粋化されていることが判った。一方、このtransforming RNAのcDNAクローニングを行うためrandom primerを用いてRNAの逆転写を行い、vectorに挿入し数種類のクローンを得た。これらのクローンのDNA塩基配列を決定したところ、transforming RNAの全長の8割程度の部分のcDNA copyを得た。これらの塩基配列もまたU5RNAのそれに完全に一致した。以上のことから、高度純粋なRNA分子により細胞癌化が誘発されることが確実となった。
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