研究課題/領域番号 |
59480152
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉永 秀 熊本大, 医学部, 教授 (90040196)
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研究分担者 |
大河原 進 熊本大学, 医学部, 助手 (10094088)
高橋 英則 熊本大学, 医学部, 助手 (40171516)
中村 修二 熊本大学, 医学部, 講師 (90109653)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 多核白血球 / インターロイキン1 / 炎症 / 細胞運動 / 貧食 |
研究概要 |
マウス,ウサギの腹腔にカゼイン,アラムなどで起こした炎症反応における炎症細胞、とくに多核白血球(PMN)の貯溜動態を観測し、その微分値について考察すると、炎症初期に急速に流入するPMNと、後期にゆっくりと流入し、長く貯溜するPMNのあることが判明した。また、この微分値を【^(51)Cr】-PMNを用いて、実測することにより、上述のPMNの炎症の場への流入動態が確認された。 これらの炎症早期及び後期のPMNについて、さまざまなパラメーターを用いて、その機能のちがいを検索した結果、以下のような機能の不均一性を見出した。 1.アガロースプレート内でのランダム遊走能については、炎症早期のPMNは、後期のそれに比べ、著しく運動能が高く、炎症部位でのこれらのPMNの動態とよく一致する。 2.炎症早期のPMNは、その胞体内に免疫応答増幅因子を保有しているが、後期のPMNはこの因子を保有していない。 3.上述のウサギPMNの因子を精製し、N末端からアミノ酸配列を18ケ決定し、これがヒトマクロファージ由来のIL1βと類似した物質であると決定した。 4.上述のアミノ酸配列を根拠に、この因子のcDNAをクローニングすることに成功し、これをプローブとして、炎症局所のPMNのmRNAの発現を検索し、炎症早期のPMNにはこのmRNAが発現しているが、後期のPMNには発現していないことを見出した。 5.貧食能の検索では、炎症後期のPMNで強く、早期のもので弱く、殺腫瘍能は早期に強く、後期に弱い傾向があった。 全体として、炎症早期のPMNと後期のPMNとには明瞭な機能上のちがいのあることを明らかにできた。
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