研究概要 |
抗体産生を誘導し、キラーT細胞(CTL)誘導能のないMM抗原陽性腫瘍細胞にL細胞を融合するとCTL産生が誘導され、CTL産生誘導はL細胞と応答細胞の反応によって生成されるキラーヘルパー因子によることがわかり、この効果はマウスβインターフェロン(IFN)で代用されることもわかった。以下の実験を行いCTL産生機序を解析した。1.βIFNによる試験管内2次CTL産生機序。(1)IFN添加によりMM腫瘍細胞の刺激でもCTLを産生し、培養24時間の作用が最大効果を発揮した。この効果は抗(α+β)IFN抗体の添加で完全に阻止された。(2)CTLはThy-【1^+】Lyt-【2^+】細胞でMM抗原特異的であった。(3)IFNは応答細胞中のマクロファージに作用してキラーヘルパー効果を発揮する。2.正常C3Hマウス脾細胞とL細胞の4日間培養の培養上清中のキラーヘルパー因子.高速液クロを用いて活性因子の分離を試みたが不成功。次いで培養上清中の既知のリンホカイン活性を測定し、CSF,IFN,IL-3の存在を認めたが、IFN活性だけがヘルパー効果と関連していた。pH2処理でIFN活性、ヘルパー活性が共に失活し、γIFNが想定されたが、マウス・レコンビナン,γIFNにはヘルパー活性はなかった。IL+2は検出できなかった。3抗体産生におけるハイブリッド細胞あるいは親の腫瘍細胞感作脾細胞のへルパー活性を抗TNP抗体産生系で比較したが、両者に有意差はなかった。4.加熱処理によってキラーT細胞誘導能を低下させたアロ抗原細胞に対するMLR系のL細胞、上記培養上清またはβIFNを反応初期に添加することによって同様のキラーヘルパー効果が認められた。応答細胞中からアシアロ【GM_1】+細胞を除去するとアロキラー細胞は誘導された。したがってアシアロ【GM_1】+細胞とL細胞の反応がL細胞のヘルパー効果に役割をもっていると示唆される。
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