研究概要 |
アポ蛋白(Apo)BおよびEは、ともにアポB、Eレセプター(LDLレセプター)に結合する。LDLレセプター(LDLR)の遺伝的異常は、家族性高コレステロール血症(Familial hypercholesterolemia,FH)を発症し、高頻度に冠動脈疾患を合併する。最近LDLR遺伝子がクローン化され、全構造が解明されたので、それをプローブとしてFHのLDLR遺伝子の検討を行った。LDLRのcDNA3′末端側1,9KbのpLDLR-2HHIと、full lengthのpLDLR-3XS1をプローブとして、FHおよび正常者のLDLR遺伝子多型性を検討した。Pvu【II】で切断がおこらないalleleAと、切断がおこるBが認められ、FHと正常者のA,Bの頻度はそれぞれ0,88,0,13と0,92,0,08で両者間に差がなかった。2例(SO,KY)のFH患者で約6Kb短い異常遺伝子断片が見い出された。いくつかの制限酵素により、エクソン15を含む約6Kbの欠損と考えられた。KYの家系11例中6例に高コレステロール血症を認め、これらの全例に異常遺伝子が認められた。一方正コレステロール血症の5例では、このような異常遺伝子は1例も見い出されなかった。SOの家系でも高コレステロール血症を示す2例(MT,CM)で異常遺伝子が見い出された。MT,CMの新生児臍帯血コレテロール(正常59±14mg/dl)はそれぞれ78,51mg/dlであった。MTの新生児は異常遺伝子が認められFHと診断できた。この異常LDLR遺伝子を持つ症例を【FH_(TONAMI)】と命名した。
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